ご指定の「従来の3段階による事前確率推定」を中心に、わかりやすく整理して解説します。
1. Wellsスコアの計算方法(基本ルール)
以下の項目に該当する場合、それぞれ定められた点数を足し引きして合計点を算出します。
【+1点となる項目】(9項目)
- 悪性腫瘍: 活動性のがん(現在治療中、または過去6か月以内の治療・緩和ケア歴あり)
- 麻痺・固定: 下肢の麻痺・不全麻痺、または最近の下肢ギプス固定
- 安静・手術: 3日以上の臥床安静、または4週間以内の大手術(全身・部分麻酔)
- 圧痛: 深部静脈の走行に沿った局所的な圧痛がある
- 腫れ: 下肢全体の腫脹(むくみ)がある
- ふくらはぎの左右差: 腓腹部の左右差が3cm以上ある(脛骨粗面の下10cmの位置で比較)
- 圧痕性浮腫: 症状のある下肢に圧痕性浮腫(指で押すと凹むむくみ)がみられる
- 側副血行路: 表在静脈の側副血行路が発達している(※元の静脈瘤によるものは除く)
- 既往歴: 過去に客観的検査で診断されたDVTの既往がある
【-2点となる項目】(1項目)
- その他の診断: DVTと同等以上に疑われる、別の診断名が他にある
2. 合計点の解釈:従来の3段階評価
ご要望の通り、臨床で広く用いられてきた3段階のリスク分類(高・中・低)で解釈します。算出した合計点によって、DVTの事前確率が次のように分類されます。
- 【3点以上】 : DVT「高リスク」
- 血栓が存在する確率がかなり高い状態です。速やかに画像検査(超音波検査など)を実施する必要があります。
- 【1〜2点】 : DVT「中リスク」
- 血栓の可能性が中等度ある状態です。血液検査(D-ダイマーなど)や超音波検査を組み合わせて慎重に評価します。
- 【0点以下】 : DVT「低リスク」
- 血栓が存在する確率が低い状態です。
3. (参考)近年の2段階解釈との違い
あわせて記載されていた近年の基準(NEJM 2003など)では、シンプルに2つに分けて考えます。
- 2点未満(DVT unlikely): 「D-ダイマーが陰性であれば、超音波検査を行わずにDVTを除外できる」という安全なカットオフとして活用されます。
- 2点以上(DVT likely): 超音波検査へ進む基準となります。
臨床現場では、まずこのスコアで患者さんのリスク(高・中・低、あるいは unlikely / likely)をパッと見積もり、次の検査(血液検査や超音波)をどう進めるかの羅針盤として使われます。


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