
「これ見てくれるで?」
訪問して早々に高齢の方の足を見せていただける。
「前まではこんなことなかったけど、靴下を脱ごうとするとふくらはぎに段差がついとんよ」
夕方伺った先で驚いて教えてくれることが、時々あります。
高齢と私との付き合いも長いので身体の変調を割と気軽に教えてくれます。
日常での生活内容は変わってないのに急に足がむくんでびっくりしますよね…
「足や見んけん、前からあったんか?」
「僕も自分の足を見たいと思うほど、綺麗な足だったら見ますけどねー。ズボンと靴下の隙間を蚊に刺された時ぐらいはよく見ますね。はははっ。」
本人が過剰に心配しないように、足のチェックの間にどうでも良い話を挟んでおきます。
むくみは危険なむくみがあるので、決して甘く見ては行けません。
チェックする前に余計な心配をかけてもいけません。
それでは、確認していきます。(後でちゃんと説明しますので、チェック内容が知りたい方はここを読まずに進んでください)
訪問時の姿勢。横になるのがしんどそうではない。
胸が痛いと訴えはない。両足がむくんでいる。
今は16時で、いつもテレビを見ているので座る時間が長いと…。
この間診察してもらって高血圧の薬がって言ってたなぁ。
体重も測ってもらうか。変化なしと。体重計への乗り降りも問題なし。
この方は起きる時間もバラバラで、家ではいるけどタイムスケジュールははっきりしないからなぁ。
何時にご飯食べて薬を飲んだんだろ…。
1つ1つ確認して緊急性はなさそうです。(両足にむくみ、胸痛なし、横にもなれる、体重計に乗るときも息切れとか動悸、だるさの訴えなし)
これからリハビリするのであれば、深部静脈血栓症もチェックか。
血液検査はこちらには報告してもらえないから、また先生に相談しないと…
病院じゃないから血液検査もしてないし、エコーもないから…。Wellsスコアがあるか。
訪問先の方に緊急で病院受診をしてもらうのは最後の手段です。
そもそも病院になかなか行けないから訪問しているわけで。
こういう点がこの仕事の難しさです。病院受診を促してそのまま何もなかったら、いろんな信頼を失います。でも診断は僕らにはできません。
いろんなもの(足や最近のお薬手帳など)写真に撮っておきます。
後から見返すこともできるし、相談もできます。
文章にするより遥かに伝達される情報が多いです。動画もいいと思います。
私は自動棒にもなる三脚も持っていきます。
介助して歩く姿も残しておくと後々も良いのです。
個人情報の漏洩は特別注意しながら撮影します。
どうやら今回は薬の影響によるものが1番疑わしいと判断しました。
それでは本題
足がパンパンにむくんでくると、夕方だから仕方がないと見過ごしたり、水分を摂りすぎたのかなと自己判断したりしがちです。
しかし、実は毎日飲んでいるお薬が原因でむくみが起きている場合があります。
今回は、お薬が原因で起こるむくみの特徴や、見逃してはいけない危険なサイン、
そしていざというときの正しい対応について分かりやすく解説します。
むくみの原因になりやすいお薬
「薬剤性浮腫を起こす代表的な薬物群」をまとめた表です。写真に書かれている薬効分類を、実際の薬剤名(一般名)に置き換えると、以下のようになります。
薬剤性浮腫では特にCa拮抗薬、NSAIDs、ピオグリタゾンなどが重要です。
| 写真の分類 | 具体的な薬剤名の例 | 主な商品名の例 |
|---|---|---|
| NSAIDs | ロキソプロフェン | ロキソニン |
| ジクロフェナク | ボルタレン | |
| イブプロフェン | ブルフェン | |
| セレコキシブ | セレコックス | |
| Ca拮抗薬 | アムロジピン | ノルバスク、アムロジン |
| ニフェジピン | アダラート | |
| シルニジピン | アテレック | |
| ベニジピン | コニール | |
| エホニジピン | ランデル | |
| β遮断薬 | ビソプロロール | メインテート |
| カルベジロール | アーチスト | |
| アテノロール | テノーミン | |
| ACE阻害薬 | エナラプリル | レニベース |
| リシノプリル | ゼストリル、ロンゲス | |
| イミダプリル | タナトリル | |
| ペリンドプリル | コバシル | |
| 甘草を含む漢方 | 甘草含有製剤 | 芍薬甘草湯、補中益気湯、葛根湯など |
| ステロイド | プレドニゾロン | プレドニン |
| デキサメタゾン | デカドロン | |
| ベタメタゾン | リンデロン | |
| 糖尿病薬 | ピオグリタゾン | アクトス |
| 制吐薬 | ドンペリドン | ナウゼリン |
| メトクロプラミド | プリンペラン | |
| 向精神薬 | クロルプロマジン | コントミン、ウインタミン |
| ハロペリドール | セレネース |
お薬が原因のむくみは、いくつかのパターンがあります。
まずは、ご自身やご家族が飲んでいるお薬手帳を確認してみてください。
- アムロジピンなどのカルシウム拮抗薬(高血圧治療薬など)
血管を広げる働きがあるため、血管から水分がしみ出しやすくなり、足のむくみが起こることがあります。単に水分が体に溜まったわけではないため、水分を外に出す利尿薬を飲んでもあまり効果がないことが多いです。お薬の量を減らしたり、別のお薬に変更したりすることが検討されます。 - ロキソプロフェンなどのNSAIDs(痛み止め)
解熱鎮痛薬としてよく使われるお薬です。お薬の必要性を改めて評価し、減量や中止、別のお薬への変更が検討されます。 - ピオグリタゾン(糖尿病治療薬)
体に水分や血液の成分が増えることでむくみが起こります。お薬の量を減らしたり中止したりすることが検討され、改善しない場合は利尿薬が考慮されることがあります。 - その他の薬
ステロイド薬や、風邪薬・漢方薬に含まれることのある「甘草(かんぞう)」という成分、高血圧の治療で使われるACE阻害薬などがむくみの原因になることがあります。ACE阻害薬の場合は足のむくみだけでなく、顔や唇、舌などが急に腫れる血管性浮腫に注意が必要です。
原因の4大カテゴリー鑑別(5分でチェック)
| カテゴリー | 主な原因・機序 | 特徴的な所見・確認ポイント |
| ① 薬剤性 (まずはこれを疑う) | Ca拮抗薬(アムロジピン等) NSAIDs(ロキソプロフェン等) ピオグリタゾン、ステロイド、甘草等 | 最近(数週間〜数ヶ月以内)新規追加・増量された薬はないか? ※アムロジピンの場合、利尿薬は効きにくい。 |
| ② 心不全・腎疾患 | 心機能・腎機能の低下による体液貯留 | 「浮腫 + 体重増加 + 息切れ」の組み合わせ。 ピオグリタゾン内服中の急激な浮腫は心不全に注意。 |
| ③ 静脈不全・低栄養 | 下肢静脈瘤、長時間の座位・臥床、低栄養(アルセブミン低下) | 日中の長時間の端坐位や車椅子乗車で夕方に悪化しないか? 食事摂取量が低下していないか? |
| ④ その他 | 甲状腺機能低下症など | むくみを押したときに凹みが残らない(非圧痕性浮腫:粘液水腫の鑑別など) |
すぐに病院へ連絡してほしい危険なサイン
お薬によるむくみであっても、中にはすぐに医師に相談しなければならない危険な状態が隠れていることがあります。
次のような症状が見られたときは、単なる副作用と決めつけず、速やかに主治医や医療機関へ連絡してください。
- 数日のうちに体重が急激に1kgから2kg以上増えている
- 少し動いただけで息切れがする、横になると息苦しくて眠れない
- 胸の痛みや動悸、いつもと違う激しいだるさがある
ピオグリタゾンを飲んでいる方でこうした急激な体重増加や息切れが起きたときは、心不全という病気のサインの可能性があるため、特に早めの対応が必要です。
片方の足か、両方の足かを見分ける
むくみを確認するときは、左右どちらの足に出ているかも大切なポイントです。
- 片方の足だけに強いむくみがある場合
ふくらはぎの強い痛み、赤み、熱感がある場合は、足の血管に血の塊が詰まる深部静脈血栓症という病気や、リンパ管の流れが滞るリンパ浮腫などの可能性が考えられます。この場合、むくんだ足を強くマッサージするのは血の塊を飛ばしてしまう危険があるため避けてください。 - 両足に出ている場合
お薬の影響や、心臓や腎臓の働き、生活習慣などが関係していることが多くなります。

気づいたときの正しい対応の流れ
足のむくみに気づいたときは、次の順番で状況を確認していくとスムーズです。
- 最近新しく追加されたお薬がないかを確認する
- お薬の量が増えていないかを調べる
- むくみを起こしやすいお薬を飲んでいないか確認する
- 体重が増えていないか、息切れや呼吸の苦しさがないか確認する
- 左右どちらに出ているかを確認する
もしお薬が原因かもしれないと感じても、自己判断でお薬の飲む量を減らしたりやめたりすることは絶対に避けてください。
血圧や血糖値のコントロールが乱れて別の病気が悪化する危険があります。
かかりつけの医師や薬剤師に相談する際は、「いつ頃からこの薬が始まって、その頃から足がむくむようになった」「体重がこれくらい増えている」といった具体的な変化を伝えていただくと、スムーズに診察や処方の調整が進みます。
日々の生活の中で、足のむくみや体重の変化に早めに気づくことが、大きな病気を防ぐ第一歩になります。
気になる症状があるときは、お薬手帳を持参して、かかりつけの医師や薬剤師に気軽に相談してみてください。
今回の結果
その後、次回の診察時に足のむくみについて主治医に伝えてもらいました。
この程度なら気にしなくても良いでしょうと言われたとのことです。
ゴムの緩い靴下を履いて、足をあげるか歩くようにしてと具体的なアドバイスももらって
薬の変更はするほどではないとなりました。
普段の本人、医療機関との関係性作りも重要であると思った次第であります。


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