訪問看護の理学療法士あるあるを深掘り

寝室の床にカーペットを何枚も重ねている、
歩くときにつま先が引っかかるのでは?
私が関わった人は案外そこでは引っかからない。
しかしながら調べてみると、カーペットで転倒する人は多いと報告する論文多数。
| 研究者・論文名 | 調査対象 | カーペット・敷物に関する報告内容 |
| 菅原ら(2023) 『Dementia & Neuropsychologia』 (宮城県涌谷町での在宅高齢者研究) | 地域在住高齢者 95名 (認知機能低下者含む) | 居室・廊下の「カーペットのめくれ」「敷物の滑りやすさ」が室内転倒の直接的なリスク環境として検出。認知機能が低下している群ほど、こうした環境要因による転倒発生率が有意に高くなることを報告。 |
| 鈴木ら(2007) 『日本公衆衛生雑誌』 (地域高齢者の転倒要因分析) | 地域在住高齢者 | 屋内転倒の発生場所・原因の分析において、「絨毯・カーペットの端へのつまづき」「滑りやすいラグマット」が居室(居間・寝室)における主たる環境要因として挙げられている。 |
| 前岡ら 『床面の状態が高齢者の歩行に与える影響』 | 高齢者の歩行挙動に関する実証研究 | フローリング等の硬い床面と比べ、厚手のカーペットや滑りやすい敷物の上では足圧中心(CoP)の揺れが増大し、つま先上がりが不十分(つまづきやすくなる)ことを生体力学的に報告。 |

在宅と研究者で差を感じますね。
注意は当然必要なんですが、カーペットは撤去が難しい。
ちなみに私の関わる人でここ1年でカーペットでの転倒は0人。
本人も危険性をよく分かってますね。
常々危ないと思っている場所は本人も気を付ける印象です。

そもそも、カーペットを撤去する時に転びそうじゃ。

ベッドの下に引いてることもあるので、ベッドを電動ベッドに変更する時に一緒に撤去するのもいいですね。
私が関わった転倒事例
この1年で私が経験した訪問していない時の転倒場所は、浴室・脱衣所・ベッド周辺・廊下・トイレで転倒することがありました。
どの転倒も骨折はありません。
その5箇所の中ではベッド周辺が1番転倒が多かったです。日中にベッドで過ごす時間が多いので、環境を検討を最も考慮される場所です。

ベッドから落としたリモコンを拾おうとして、こけたんじゃ。
ベッドの周りには色んなものを置いてあるからのう。ちょっと肘が当たったら床に落ちるんじゃ。


転倒して、家族から起こすのが大変だったと報告されることが結構あります。転倒する前提では関わらないので、始めて転倒した時に家族がかなり困って起こす場合がありますね。
転倒からの起こし方をイラストで説明

準備:しっかりした椅子を用意する
動かないキャスターなしの椅子(またはベッドやソファ)を本人のすぐ近くに用意します。(椅子が動かないよう、壁につけるとより安定します)
ステップ1:横向き(側臥位)から「横すわり」になる
- 本人を横向き(側臥位)にし、両膝を曲げます。
- 床に手を置き、上半身をゆっくり起こして「横すわり」の姿勢になります。
ステップ2:「四つばい」になり、椅子に手をつく
- 横すわりから両手・両膝を床につけ、「四つばい」の姿勢になります。
- 四つばいのまま椅子の座面(肘掛け)に両手を置きます。
ステップ3:力を入れやすい足を1歩前に出し「片膝立ち」になる
- 左右のうち「力の入りやすい側(または麻痺のない側)」の足を一歩前に出し、足の裏をしっかり床につけます(片膝立ち)。
ステップ4:椅子をしっかり押し、ゆっくり立ち上がって腰掛ける
- 椅子の座面を両手でしっかり押し込みながら、足の力を使って腰を浮かせます。
- そのままゆっくりと反転し、用意した椅子に深く腰掛けます。
家ではかなりの確率で転倒している
| 研究者・学会 | 対象・調査規模 | 報告されている転倒率・実績データ | 調査の主な特徴 |
| 西田ら(2014) 第49回日本理学療法学術大会 | 訪問看護リハビリを利用する在宅療養生活者 529名 | 年間転倒発生率:19.3%(102名) | 1年間追跡した実態調査。住宅内での転倒要因を分析。 |
| 吉田ら(2012) 第47回日本理学療法学術大会 | 訪問リハビリ・訪問看護の利用者 234名 | 過去の転倒経験率:65.0%(151名) | 利用開始前または利用中の転倒既往歴を算出した調査。 |
| 誠和会 訪問看護ST(2021) 院内・学術発表 | 同ステーションの訪問看護・リハ利用者 | 過去の転倒経験率:63.0% | 在宅療養者の過半数以上に転倒リスクが存在することを示す報告。 |

在宅で転倒が起こると家族に伝え、
部屋の危険な場所や転倒時の注意点、
起こし方を前もって説明しておく必要があります。

今まで転んだことないから大丈夫じゃよ。わしはまだまだ元気じゃのに。

こんな感じで、部屋の動線を確保するために家具の移動を提案するも受け入れられることは少ないですね。
そもそも今まで問題なかったのだからと実績を言われると何も言えないです。

医療従事者はカーペットがあったら全部撤去しようと考えるより、
再転倒しないように動線や生活の状況全てを調べる必要があると思います。
転倒した場所の工夫というよりは、
転倒場所以外の部屋も大掛かりな改変を試みることが良い場合もありました。

もう歳だし、家の中でも歩行器を使おうかな。

いいですね!
カーペットの隣に置き型の手すりも置きましょう。
歩行器も引っかからないように。
部屋の問題は人それぞれ
家で暮らす実情は、とにかく人それぞれです。
こうしたら良いですよと押し付けると上手くいかない事が多い。
何種類か提案して選んでもらうようにすると、すんなり受け入れられることもあります。
こちらの提案をいくつもできるようにしたいですね。

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