訪問リハビリで家を訪ねると利用者の右肘に大きな切創あり。出血も多量あった。その時の対応について。

命を守る!救急と災害の備え

訪問して家のチャイムを押しました。

すると玄関に出てきた娘さんから、娘さんが不在の午前中に、母がリビングで転倒して右肘を怪我して多量に出血したようですと伝えれらました。

私が訪問する直前に帰ってきた娘さんは、帰ってみると部屋のカーペットには血が落ちており、傷口は大きく急いで消毒したとのこと。

幸い、帰ってきた時には本人がティッシュを使って止血し出血は止まっていたようでした。

娘さんは少し慌てる様子ではありますが、母親のそばを離れて玄関に出てきています。つまり目を離しても大丈夫なレベル。本人の緊急性はそれほど高くないのではと推測します。

私が慌てる訳にはいかないので、できるだけ慌てずいつも通りにリビングに向かいます。

リビングのドアを開けると本人は毎週いつも座っているソファーで横になっています。

挨拶すると「さっきこけて大変だったんよ」と少し興奮したように話してくれます。軽度の認知症があるため、転倒した理由や転倒の場所、転倒方向ははっきりしません。

意識状態は問題なさそうです。そして、出血量を確認しようと思いました。

最悪の場合、救急車を呼ぶ必要があります。

ショックの5P

1.蒼白(pallor)
2.虚脱(prostration)
3.冷汗(perspiration)
4.脈拍触知不能(pulseless)
5.呼吸不全(pulmonary deficiency)

この症状はない。

出血量

一般的に、人間の循環血液量は体重の1/13(体重の約8%)と言われています。

救急では一般的に体重70kgとして計算するため、循環血液量は約5,000mLとして考えます。

循環血液量5,000mLのうち、推定出血量750mL以上、15%以上の血液が失われることでショック症状が現れるようになります。

意識・出血量ともに問題はなさそう

どうやら、話しかけると応答でき、意識は問題なさそうです。

床に血は落ちていますが、そこまでの出血量ではなさそうです。

本人はソファーに座っていますが、傷口を確認すると5センチ以上の切り傷があります。大きな傷です。

表皮が裂け、皮下脂肪が露わになっています。しかし、本人はあまり痛くないと言います。出血も止まっているようです。

母親は質問に対してはっきりした声で返答します。変なことも言いません。

緊急性はなく、救急車は呼ばなくてよさそうです。

本人の顔を見ます。顔色は悪くない。

他の部位に骨折の可能性はないか、視診と触診で確認しました。上腕・手関節・脊柱・大腿骨に異常はなし。四肢を動かしてもらうもスムーズ。頭部も異常なし。

転倒した後に立ち上がって歩いたようなので、

立った状態で娘さんにも手伝ってもらい、他の部位に腫脹や発赤が無いか確認しました。

少し左の臀部に痛みがあると訴えがありますが、骨折の疑いはありません。

大きな外傷はなさそうです。

最初の傷口に戻って、傷口はそのままにできそうもない。

そこで、ドレッシング材であるマルチフィックスパッドを使用しました。

傷口の処置の前にバイタルを確認します。

血圧・脈拍:正常
血中酸素濃度:99%
体温:正常

バイタルに異常なし。

ここからが問題です。私は理学療法士であり、傷口に対する処置はあまり詳しくありません。

わかりませんが、傷口の大きさから病院受診までの間、そのままにしていてはいけないと判断しました。

傷口に縫合が必要かどうかはわかりませんが、どちらにしても外科の受診が必要と判断し、他の職員に指示を仰ぐことにします。

傷口の大きさをメジャーで測定しました。傷口の状態を管理者に報告する必要性があるからです。

管理者に連絡、傷口の大きさや深さを報告し、かかりつけの医師の判断を仰ぐことになりました。

かかりつけ医に相談し、外科に受診することになりました。

ここからは教科書的な対応について記載します。

けがに対する応急手当ての必要性

傷には

  • 出血
  • 痛み
  • 細菌感染 の危険性があります。

開放性の傷の特徴

切り傷(切創):傷口が大きく出血が多い場合には、医師による縫合処置を要する。傷口に感覚障害がある場合は神経の損傷を疑う。
刺し傷(刺創):傷口は小さくても深くまで達していることがある。その場合感染を起こしやすい。
擦り傷(擦過傷):皮膚を擦った傷で、出血や痛みがあり、傷の範囲が広く感染も起こしやすい。

傷の手当ての注意事項

  • 傷の手当てをするときに、必ず手を清潔にする。
  • 傷の近くで話をしたり咳をしたりしない。
  • 直接傷口に綿やちり紙を使用しない。細かい繊維が傷口に残り治療の妨げになる。
  • 素手で傷病者の血液に触れないようにする。ゴム手袋がない場合はビニル袋を使う。
  • 血がついた場合は速やかに手を洗う。
  • 傷病者を安静にして、全身の状態をよく見る。保温や体位に注意する。

傷の手当ての基本

出血が少ない場合

開放性の傷は感染の危険が高いので、傷口に保護ガーゼを当て、包帯をして医師の診察を受ける。

土や砂などで汚れた場合は破傷風や壊疽などの危険がある他、化膿したり傷の治りに支障をきたす場合がある。

受傷後速やかに水道水などの清潔な流水で傷口に異物が無くなるまで十分に洗います。

出血が多い場合

直ちに止血して急いで医療機関に搬送します。

振り返ると

傷口の処置にドレッシング材を使用したことは判断が間違っていたと思います。

保護ガーゼで傷口は保護できていますが、テープが強固なため病院受診時に再度傷口を広げてしまう可能性があるからです。

保護ガーゼで包帯を巻くことが必要だったと思います。

血液の凝固を防ぐ服薬をしていないかの確認も怠っていました。

やはり事前の準備が1番です。事務所に帰って、看護師に処置の仕方を教わり、必要な備品を揃えました。

転倒はどの方にもあることです。

骨折の対応ばかりでなく、外傷に対する知識や準備も重要であることが今回のケースで勉強することができました。

今後の糧になるよう、しっかり覚えたいと思います。

コメント