慢性的に脱水がずっと続いているとこんな症状

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軽度の脱水がずっと続いたら(慢性的な軽度脱水)

毎日軽度の脱水症状が続くこと(慢性的な軽度脱水、または慢性的な水分不足)が体に与える影響については、いくつかの研究や論文で言及されています。特に、近年注目されている分野です。

1.認知機能への影響

  • 集中力、注意力、記憶力の低下:
    複数の研究で、軽度の脱水でも、集中力や持続的な注意力が低下することが示されています。また、作業記憶や反応時間の遅延なども報告されています。特に、長時間の作業や複雑な認知課題において影響が出やすいとされています。
  • 気分の変化
    疲労感、緊張、不安感の増加、イライラなど、気分の悪化がみられることがあります。

2.身体機能への影響

  • 慢性的な疲労感、倦怠感
    体内の水分不足が続くことで、全身の細胞機能が低下し、エネルギー代謝が効率的に行われなくなるため、慢性的な疲労感やだるさを感じやすくなります。
  • 体温調節機能の低下
     軽度であっても水分不足は発汗量を減少させ、体温調節能力を低下させる可能性があります。特に暑い環境下での運動時や高齢者においては、熱中症のリスクを高めます。
  • 消化器系の問題
    水分不足は消化管の動きを悪くし、便秘を引き起こすことがあります。また、消化吸収の効率も低下する可能性があります。
  • 筋肉のパフォーマンス低下
    運動能力の低下や、筋肉痛、こむら返り(足がつる)などのリスクが増加することがあります。電解質バランスの乱れも関係します。
  • 腎機能への影響
    長期的な水分不足は、腎臓への負担を増加させ、慢性腎臓病のリスクを高める可能性が指摘されています。腎臓は体内の水分バランスを調整する重要な臓器であり、水分が不足すると濃縮された尿を排泄しようとします。
  • 心血管系への影響: 血液の粘度が増し(ドロドロ血液)、血流が悪くなることで、心臓に負担がかかる可能性があります。長期的に見ると、心臓病や脳卒中のリスクとの関連も示唆されていますが、より詳細な研究が必要です。
  • 免疫機能の低下: 水分は免疫細胞の輸送や機能にも関与しているため、慢性的な水分不足が免疫機能に影響を与える可能性も考えられます。

3.長期的な健康リスク

疫学研究の中には、軽度であっても慢性的な水分不足が、以下のような慢性疾患のリスク上昇と関連している可能性を示唆するものもあります。

  • 心血管疾患(冠動脈疾患、心不全など)
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 腎機能の悪化
  • 早期死亡
  • 老化の加速

ただし、これらの関連性のメカニズムについてはまだ十分に解明されていない部分も多く、さらなる研究が求められています。

まとめ

毎日脱水の初期症状が続くような慢性的な軽度脱水は、単なる「のどの渇き」で終わるのではなく、認知機能、身体機能、さらには長期的な健康に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。特に、高齢者や乳幼児、疾患を持つ人は、のどの渇きを感じにくい、あるいは訴えられないことがあるため、周囲の注意が必要です。

健康を維持するためには、のどの渇きを感じる前にこまめに水分を補給することが非常に重要であるとされています。

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