


足がむくんだ80代女性の左足。最後に改善事例を紹介しています。

「最近、足がむくんで困るのよね…」
もし、ご高齢のご家族からそんな言葉を聞いたら、少し注意が必要です。
足のむくみ、いわゆる「下肢浮腫」は、高齢者の方によく見られる症状の一つ。
その原因は、心臓や腎臓の病気といった全身性のものから、血管の働きの低下まで、じつは様々なんです。
そして、見過ごせないのが「廃用性浮腫」という状態。
これは、筋力の低下によって血液やリンパ液の流れが悪くなることで起こります。特に、活動量が減ってしまいがちな高齢者の方には多いと考えられています。
「年のせいかな?」と安易に考えず、もしかしたら背後に病気が隠れている可能性も。
だからこそ、内科的な病気がないかをきちんと調べることが大切なんです。
でも、もし「廃用性浮腫」と診断された場合も、決して諦める必要はありません。
適切な治療法があるんです。その中心となるのは、足を圧迫するケア。さらに、無理のない運動や、体の中から改善するための栄養バランスも重要になってきます。
高齢化が進むにつれて、この「廃用性浮腫」で悩む方は増えています。
だからこそ、正しい知識を持って、適切な診断と治療につなげていくことが、健やかな毎日を送るためにとても大切なのです。
足のむくみ(下肢浮腫)様々な原因
例えば、心不全や腎不全といった全身の病気が影響している場合や、
下肢静脈瘤や深部静脈血栓症、がんの手術後のリンパ浮腫といった、
足の血管やリンパの流れに関わる病気が原因となることもあります。
そして最近、特に高齢者の方に増えているのが、
全身の病気や明らかな原因が見当たらないのに起こる「廃用性浮腫」。
廃用性浮腫の原因
廃用性浮腫の主な原因は、
足の筋力低下と、日常生活での動作(ADL)の低下です。特に高齢者の方によく見られ、
心臓や腎臓などの病気や、
血管の異常といった明確な原因が見当たらない場合に診断されます。
近年では、急速な高齢化に加え、運転免許返納などの生活様式の変化も、
廃用性浮腫を引き起こす要因の一つとして考えられています。
廃用性浮腫の治療
- 圧迫療法: 弾性ストッキングや弾性包帯を使って足を圧迫することで、静脈の流れをサポートし、むくみを軽減します。
- 運動療法: 足の筋肉を動かす運動を行うことで、筋肉がポンプのように働き、血液やリンパ液の流れを改善します。
- 栄養改善: バランスの取れた食事を心がけ、体全体の健康状態を良くすることが大切です。
これらの治療法を複合的に行うことで、より効果的に廃用性浮腫を管理することが期待できます。
圧迫療法
圧迫療法は、弾性ストッキングや弾性包帯を使って足を圧迫することで、足の血液の流れを良くし、むくみを軽減する治療法です。
足を圧迫することで、静脈にかかる圧力が上がり、血液が逆流するのを防ぎます。また、リンパ液の排出も促されるため、むくみの改善につながります。
ただし、中には強い圧迫に耐えられない方もいらっしゃるため、
そのような場合には、弱い圧力の弾性包帯から始めることが推奨されています。
巻く強さが強すぎる場合は足の指が白くなります。チアノーゼとなると紫色か赤黒くなるので必ず目で確認してください。
圧迫療法をしてはいけない病気
深部静脈血栓症
糖尿病
うっ血性心不全
皮膚の急性炎症
運動療法
足の運動療法は、ふくらはぎなどの筋肉を動かすことで、
筋肉がポンプのように働き、血液やリンパ液の流れを良くすることを目的としています。
具体的には、
- 足首を上下に曲げ伸ばしする運動
- 膝をゆっくりと曲げ伸ばしする運動
- 無理のない範囲での軽いウォーキング
などが推奨されます。
定期的に運動を行うことで、足の筋力を保ち、廃用性浮腫の予防や改善につながります。
廃用性浮腫の改善事例
80代 女性
ショートステイ:週3日利用
訪問リハビリ:週1日
自宅での移動:歩行器
自宅での主な過ごし方:ソファー(トイレ移動以外)
浮腫のパターン:
ショートステイ後に出現
自宅に帰ると軽減
この状態を繰り返している
血圧を下げる薬を服用
写真はショートステイ帰宅2日後の状態を示す
(靴下をずらしたふくらはぎに凹凸あり、くるぶしが分かりにくくなっている。)



訪問リハビリ時に弾性包帯と運動療法(足若丸10分)を実施。
写真は1週間毎の経過。ふくらはぎに注目。



弾性包帯と持ち運びできるエルゴメーター購入すれば、ご家族でも実施できる内容です。
他にも改善事例として弾性包帯+下肢挙上のみ HPとなりの堤より引用
まとめ
廃用性浮腫を改善するためには、日常生活での活動量を増やし、できることを増やす(ADLの向上を図る)ことが大切です。
具体的には、
- 定期的な運動を行い、足の筋力を維持・向上させる
- 圧迫療法(弾性ストッキングや弾性包帯の使用)で足のむくみを軽減する
- バランスの取れた食事による栄養管理で体全体の状態を整える
- 10cm(座布団2枚程度)の下肢挙上
これらの方法を組み合わせることで、廃用性浮腫の改善が期待できます。
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