意識障害の評価(JCS・A-B-C-Dアプローチ)

徳島の地域情報と支援

訪問に伺った際にいつもなら挨拶に返事をしてくれるのに反応がない!!

この場合に寝ているのか、意識を失っているのか早急に判断して報告しないといけない。

その時に行う評価をまとめました。

JCS(ジャパン・コーマ・スケール)とは、患者の意識障害レベルを評価する医療用語です。患者の意識レベルを『開眼しない』『刺激で開眼する』『開眼している』の3つに分け、それぞれを3段階で評価する方法です。数値が大きいほど意識障害が重く、0は正常です。
Ⅰ 刺激しないでも覚醒している状態1点 だいたい意識声明だが、今ひとつはっきりしない
2点 見当識障害がある(自分がなぜここにいるのか、ここはどこなのか、といった状況が理解されていない状態)
3点 自分の名前、生年月日が言えない
Ⅱ 刺激すると覚醒するが刺激を止めると眠り込む状態10点 普通の呼びかけで容易に開眼する
20点 大きな声または身体を揺さぶることにより開眼する
30点 痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する
Ⅲ 刺激をしても覚醒しない状態100点 痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする
200点 痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる
300点 痛み刺激に反応しない

意識障害が起こった時に

①意識レベルの確認 上記(JCS japan coma scale)
②バイタルサインの測定 バイタルサインのABCD
③意識障害に至った病歴

①意識レベルの確認

意識レベルの評価では、最初に痛み刺激を与えることは避けるのが基本です。

まず、
①声をかけずに覚醒しているかどうかを観察
②その後に声をかけて反応や会話の内容を確認して評価
③声掛けを行っても開眼をはじめとした反応がみられない
④痛み刺激を開始。(痛み刺激は爪の付け根を強く圧迫する)

②バイタルサインの測定

意識レベルがはっきりしたら次は、

airway 気道昏睡状態では気道を確保
breathing 呼吸呼吸様式や呼吸数、呼吸音を確認
circulation 循環血圧、脈拍、末梢冷汗の有無
disability 神経麻痺がない

生命にとって特に大切なのは、大気中の酸素が体内の組織や細胞に届くまでの過程をしっかりと把握することです。

たとえ血液の流れに問題がなくても、血中酸素濃度が低いと意識障害が起こることがあります。これが呼吸障害です。

この呼吸障害が、呼吸そのものに問題があるのか、気道の問題なのかを見極めるのが、
A-B-C-Dアプローチです。

どんな場合でも、気道が開通していることと、呼吸機能が保てていること、循環機能が保てていることを、この順番で確認していくことが大切です。

③意識障害に至った病歴

発症急激緩徐
症状に波はあるか?はいいいえ
先行症状
(頭痛・発熱・痙攣)
はいいいえ
既往歴(以前にもあったか?、肝・腎臓疾患)はいいいえ
頭部の外傷歴はいいいえ
過去2〜3ヶ月の転倒はいいいえ
薬剤 インスリンはいいいえ
薬剤 麻薬はいいいえ
薬剤 睡眠薬はいいいえ
新たに処方された薬はいいいえ
アルコールや違法薬物はいいいえ
精神疾患の有無はいいいえ
環境因子(一酸化炭素中毒)はいいいえ

意識障害の原因

①アルコール中毒

②低血糖・高血糖 糖尿病性昏睡

③尿毒症

④脳症(肝性、脳腫瘍) 
 電解質(底Na、高Mg、高Ca) 
 ホルモン(甲状腺)

⑤低酸素、一酸化炭素中毒 
 薬物中毒、麻薬

⑥頭部外傷 低体温・高体温

⑦感染症

⑧精神疾患(うつ、統合失調症)

⑨脳血管障害・くも膜下障害 痙攣 ショック

報告

状況 患者に何が起こっているのか(朝から意識障害があるなど)

背景 臨床的背景と状況はなんですか?(以前に脳梗塞があったなど)

評価 何が問題だと思いますか(バイタル測定の結果や服薬状況など)

提案 それを修正するためには何が必要か(救急搬送、医師の臨時訪問など)

せん妄

意識障害の1つで、認知症かせん妄か判断が難しい。

ショートステイから帰ってきて、亡くなった人を探したり、変なことを言ったりする。

認知症 緩やかに発症
せん妄 急に起きて、1日の中で変動

せん妄の原因

環境の変化、慣れない過度な刺激
全身状態の悪化
感染、脱水、脳腫瘍
疲労感、不安、抑うつ、痛み
便秘、尿閉
アルコール、ニコチンからの離脱
薬(麻薬、抗ムスカリン、ステロイド、化学療法、新たに処方された薬など)

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