自宅での終末医療:意識調査の結果と費用分析

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コロナ禍を境に、病院への入院や施設への入所に対する人々の意識が大きく変化したように感じます。現在も面会に時間制限が設けられている施設があるため、自宅での生活を続けようと努力する方が増えています。

入院や入所をしなくて済むのなら、ほとんどの人は自宅で居たいと思うのではないでしょうか。そこで、今回はコロナ禍が終わった後の意識調査と施設に入所した場合の費用を調査しました。

報告書を紹介

そこで調べてみると、厚生労働省が「令和4年度 人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」を報告していることが分かりました。

この調査は、1992年から約5年ごとに実施されており、一般国民や医療・介護従事者を対象に、人生の最終段階における医療やケアに対する意識やその変化を把握することを目的としています。

この報告書内の質問です。

もしあなたが以下のような病状になった場合、どのような医療・ケアを希望しますか。

-あなたの病状-
あなたが病気で治る見込みがなく、およそ 1 年以内に徐々にあるいは急に死に至ると考えたとき。最期をどこで迎えたいですか。

この問いに関しての回答結果は

上記の病状で、最期を迎えたい場所について、「自宅」と回答した者が最も多く、 一般国民 1,315名 (43.8%)、医師 825名(56.4%)、看護師 1,347名(57.4%)、介護支援専門員 1,018名(58.1%) であった。

さらに、

もしあなたが以下のような病状になった場合、どのような医療・ケアを希望しますか。

-あなたの病状- 末期がんと診断され、状態は悪化し、痛みはなく、呼吸が苦しいといった状態です。 今は食事や着替え、トイレなどの身の回りのことに手助けが必要です。 意識や判断力は健康な時と同様に保たれています。最期をどこで迎えたいですか。

この問いに関しての回答結果は

上記の病状で、最期を迎えたい場所について、一般国民では「医療機関」と回答した者が最も多く、 1,551名(51.7%)であった。一方で、医療・介護従事者では「自宅」と回答した者が最も多く、医師 697名(47.7%)、看護師 1,139名(48.5%)、介護支援専門員 863名(49.3%)であった。

この結果から、
医療に携わる人ほど自宅で最後を迎えたいと思っていることがわかります。
医療に関わり終末期の現実を見ている人ほど自宅を選択しているのです。

そこで、自宅で最後を迎えたいと思う方に対して、
自宅で療養するお金はどの程度必要か調べてみました

介護費用(月額)

介護を行う場所によっての月額です。

ケアハウス8 〜13 万円
食事や排せつ、入浴などの介護サービスを受けられる施設のことをいいます。 自宅での生活が難しくなってきた方がケアハウスに入居し、介護職員のサポートを受けながら生活をする場所です。
参考施設:徳島市公式ウェブサイト

特養9 〜15 万円
原則として介護保険の要介護認定で「要介護3」以上の認定を受けている必要があります。身体上又は精神上著しい障がいがあるために常時介護を必要とする方で、要介護の認定を受けた方が入所できる施設です。 費用は、介護サービスにかかる費用の一部、居住費、食事及びその他必要な実費等を負担が必要です。
参考施設:徳島市公式ウェブサイト

老健9 〜15 万円
原則として介護保険の要介護認定で「要介護1〜5」以上の要介護認定を受けた方が対象で
退院後に自宅に戻るまでの間、リハビリテーションを必要とされる方が入居できます。
参考施設:徳島市公式ウェブサイト

有料老人ホーム14 〜30 万円
有料老人ホームは、「介護付」「住宅型」「健康型」の大きく3タイプ、うち介護付きは3タイプ「介護付有料老人ホーム(入居時自立型)」「介護付有料老人ホーム
(介護専用型)」「介護付有料老人ホーム(混合型)」にさらにわけられます。有料老人ホームは介護度やサービス内容、入居時の費用などが異なります。
参考施設:徳島市公式ウェブサイト

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):14 〜30 万円
「サービス付き高齢者向け住宅」とは、高齢者単身・夫婦世帯が居住できる賃貸等の住まいです。サービス付き高齢者住宅は有料老人ホームと比べ自由度の高い生活が送れ、職員が定期的に巡回する安否確認や生活相談サービスを受けられます。
参考施設:徳島市公式ウェブサイト

グループホーム12 〜15 万円
原則として介護保険の要介護認定で「要支援1」以上の認定を受けている必要があります。グループホームは、認知症の高齢者が少人数のグループで共同生活をしながら、専門スタッフの支援を受けられる施設です。家庭的な環境で生活支援や自立をサポートし、認知症の中核症状や周辺症状への対応も受けられます。
参考施設:公的機関による一覧存在せず

特定施設: 20 万円
特定施設とは、都道府県知事や市区町村長から指定を受けている介護施設で、原則として介護保険の要介護認定で「要介護1」以上の認定を受けている必要があります。特定施設の対象となる施設は、「サービス付き高齢者向け住宅のうち、有料老人ホームの定義に該当する施設」「有料老人ホーム」「軽費老人ホーム(ケアハウス)」「養護老人ホーム」です。介護または看護職員が夜間も含めて24時間常駐し、 安心感が高い。 施設によっては、法定基準よりも手厚い人員体制で運営しているところもあります。

費用参考資料:公益財団法人生命保護文化センター2021 (生命保険に関する全国実態調査)

自宅で診察してもらう際の医療費(月額)

訪問診療とは病気や障害などで病院への通院が困難な患者が自宅で診療や治療を受けることができるサービスです。

訪問看護とは、看護師がお宅に訪問して、その方の病気や障がいに応じた看護を行うことです。健康状態の悪化防止や、回復に向けてお手伝いします。
リハビリを受けることもできます。

まとめ

私は医療従事者として長年高齢者の方に関わり、多くの生活を見ています。

報告書によると、医師・看護師・介護支援専門員の半数以上が自宅での最期を希望していますが、一般の方と比べると、終末期に必要な費用や医療・介護の具体的内容に対する不安が背景にあるようです。こうした情報を知ることで、自宅を選択する人が増えるかもしれません。

自宅を選択した理由は「住み慣れた場所で最期を迎えたいから」、「最期まで自分らしく好きなように過ごしたいから」、「家族等との時間を多くしたいから」でした。

今回の記事で、自宅での介護が最も費用を抑えられることが分かりました。

今後の在宅療養を考える際に、必要な費用の参考にしていただければと思います。あなたにとってこれからの不安が少しでも解消されたなら幸いです。

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