近年、病気や障がいを抱えながらも、住み慣れた家で暮らしたいという希望が増えています。「人生の最期を自宅で迎えたい」という思いも同様です。しかし、多くの方が「家族だけで介護や医療的ケアができるだろうか」「一人暮らしだけど大丈夫か?」という不安を抱えています。
訪問看護ステーションの仕組みや、そこで実際に行われている理学療法について紹介したいと思います。
訪問看護は何をしてくれるのですか?
①病状の観察:血圧・体温・呼吸・脈拍のチェックをし、利用者の状態の観察・異常の早期発見など
②服薬の管理:薬の相談・指導(薬の作用や副作用の説明)飲み方の指導や残薬の確認など
③医師の指示による医療処置:点滴、注射(インシュリンなど)、床ずれなどの創傷処置、在宅酸素、人工呼吸器管理、カテーテル管理(胃瘻、尿道カテーテルなど)、人工肛門など
④療養上の日常生活支援:清拭や入浴介助、排泄援助、口腔ケア、食事介助、療養上の相談など
⑤ご家族からの支援相談:ご家族の介護負担についての相談や健康管理や日常生活に関する相談、精神的サポートなど
⑥認知症ケア:認知症による事故防止など、認知症介護の相談・工夫やアドバイスなど
⑦ターミナルケア:末期がん等で残された時間を、住み慣れた家で過ごすための援助
⑧リハビリテーション:歩行・食事・入浴・排泄・外出といった生活の場面に応じた動きができるような訓練、寝たきり予防など
訪問看護でリハビリを受けるには
訪問看護では、主治医が必要と判断し、訪問看護指示書に記載があれば、リハビリを受けることができます。
リハビリを希望する場合には、ケアマネジャーや訪問看護ステーションに相談してみましょう。
おすすめの訪問看護ステーション
えがふる訪問看護ステーション https://www.egafull.com
訪問看護ステーションでの理学療法士
2024年3月末の理学療法士協会の統計によると、協会の会員数は139,556人に達しています。
一方、訪問看護ステーションで働く理学療法士の数は5,990人となっており、2021年3月末の2,061人と比べて2倍以上に増加しています。
訪問看護ステーションが今や非常に注目される職場となっています。
訪問看護ステーションのリハビリ料金
介護保険を申請している方
ご利用者様のご負担金は、原則として介護サービス費の1割、2割または3割となります。
保険適用外の費用につきましては、全額ご利用者様の負担となります。
以下は2024年6月からの料金表です。
【訪問看護でリハビリを受ける1例】
要介護では1回20分294単位×2×(✳︎1 徳島市の1単位)10.21円=600円(40分)
要支援なら1日20分284単位×2×(✳︎1 徳島市の1単位)10.21円=579円(40分)
リハビリは1回40分の利用者の方が多いです。
✳︎2 介護負担割合が1割負担で1ヶ月(月4回)の料金は、要介護で(2400円)、要支援で(2316円)となります。
✳︎1 単位の値段はお住まいの地域で決まっています。
✳︎2 介護保険負担割合とは、
要支援や要介護認定を受けている方が介護サービスを利用される際の負担割合を示したものです。
1週間にリハビリができる回数
1週間のリハビリ時間は、国の規定で最大120分です。そのため、40分のリハビリなら週に3回受けることが可能です。
リハビリで最大の効果を目指す場合、週3回のアプローチが可能ですが、私の担当する利用者の多くは週1回か2回の利用です。筋力向上を目的としている場合は、リハビリが無い日にホームエクササイズを実施してもらう必要があります。リハビリ以外でも看護師が訪問する場合はリハビリ内容を実施してもらうことがあります。
1日のリハビリ時間は20分、40分、60分から選べますが、リハビリ内容によりますが40分の方がほとんどです。
リハビリ以外の料金について
緊急時訪問看護加算 600単位
初回加算 300単位
【緊急加算】転倒した際に対応してくれたり、体調が悪化した際に救急車を呼ぶ必要があるか対応してくれたりと、訪問時以外に何かあった時に安心できます。利用時の時間帯によって料金が変わります。
【初回加算】初回利用時のみ円で初回加算が付きます。
【実際の料金】
初回加算は初月だけです。要介護の方であれば週1回のリハビリと緊急加算で3500円程度となります。
理学療法の内容
在宅での訪問リハは入院の時のリハビリや外来リハと違って、本当の生活に合わせて利用者様のオーダーメイドで専門性の高いリハビリをすることが可能です。
医師の指示に基づいてリハビリメニューを作成します。本人のリハビリをサポートし、その過程で気付いた点をチームと共有し合います。意見を交換し、お互いの強みを活かしながら協力して患者様の治療に取り組むことが、チーム医療における理学療法士の役割です。
自立度を評価し、それを妨げる要因を取り除き、動作遂行能力を向上させることを目指します。代替手段を用いることで本人の残存機能を最大限に活用し、できる限り自立した生活を実現することが目標です。これには、自助具や装具、車椅子の使用、家屋の改造などの環境調整も含まれます。
最後に
多様化の時代です。
高齢になり、入院や施設入所した際には、全ての希望を叶えることは難しいと感じます。
今後は、在宅で過ごすためにできることや、在宅サービスについて理解しておくことが、満足のいく老後を過ごすための重要な要素になると考えています。
このウェブサイトがその一助となれば幸いです。
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